蚯蚓出(みみずいずる)

四季のしつらい
庭仕事をしながら、ミミズに出会うとうれしくなります。それはミミズは土を耕...

庭仕事をしながら、ミミズに出会うとうれしくなります。それはミミズは土を耕すことが知られているため、ここは豊かな土壌なのだと思うからです。日本では、自然の鍬と言われてきました。古代ギリシャのアリストテレスはミミズを「大地の腸」と名づけていたとか。進化論で知られるダーウィンも晩年はミミズの研究に捧げ、ミミズがいかに土壌を作るかを長年観察したようです。雨の後など、石畳にでてきます。うっかりしていると、鳥に見つけられて、食べられてしまいます。ミミズは、腐葉土を食べ、窒素やリンを含んだ栄養豊富な糞を排出しています。その糞は、小さな微生物たちの格好の住処となり、さらに分解されて肥沃な土を作ると学生時代の土壌調査の研究で学びました。健康な土には、1グラム中に1億もの微生物がいるといわれています。ミミズが動き回ることによって、土中に酸素がゆきわたり、通気性がもたらされ、ふかふかの土を作ってくれるミミズの働きは、大きいのです。

竹笋生(たけのこしょうず)

四季のしつらい
初夏の味覚の筍が竹藪の土からひょっこり出てくる頃のこと。筍ごはんにお吸い...

初夏の味覚の筍が竹藪の土からひょっこり出てくる頃のこと。筍ごはんにお吸い物、木の芽和えや若竹煮などにし、優しいほのかな甘みを楽しみます。筍が何枚もの薄い皮に包まれていますが、この皮には、キツネやイノシシなどの動物に食べられないようにする役目があります。竹は、節目を作りながら、まっすぐ伸びるその強い生命力にあやかって、節度としなやかな強さの象徴とされてきました。1日で数十センチずつ、雨後の筍とも言うように雨が降った後は、驚くほど一斉に伸びるようです。さまざまな草木が青葉の勢いを増していく中で、地中の筍を育てている親竹たちは、黄ばんで、どんどん葉を落としていきます。古葉がどっさりと散り積もった地面から、ちょっと顔を出す筍には風情があります。

小満

四季のしつらい
二十四節気の8番目の小満。立夏と芒種(梅雨入り前の時期)の間の時期です。...

二十四節気の8番目の小満。立夏と芒種(梅雨入り前の時期)の間の時期です。小満というのは、「万物の成長する気が徐々に強くなり、天地に満ちる」という意味だと言われています。江戸時代に松平頼救が記した暦においても「万物衛満すれば草木枝葉繁る」と記されています。5月半ばは、気候も落ち着いて大変過ごしやすい時期です。作物も生い茂り、新緑の美しい季節です。しかし、その一方で、麦の穂をなぎ倒すような嵐になることもあります。こういった嵐のことを麦嵐といい、この時期に降る雨は、麦雨と呼ばれています。梅雨入り前の陽気な季節ですので、自然の豊かなところへ出かけて万物の成長を感じてみてはいかがでしょうか。

端午の節句・立夏

四季のしつらい
端午の節句   古来、宮廷行事とされていた端午の節日。武士の間で尚武(武...

端午の節句   古来、宮廷行事とされていた端午の節日。武士の間で尚武(武をたっとぶ)から薬草の菖蒲と尚武をかけて祝うようになったようです。この風習は武士だけでなく一般の人々にも広がり男の子の祝いになりました。玄関に幡や吹き流しを立てていたものが兜や人形を飾るようになり江戸時代中期には、鯉のぼりが飾られるようになりました。また、夜には疲労回復、血行促進に良い、匂い菖蒲(サトイモ科)を湯舟に入れます。こどもたちが小さい頃は、柏の葉の代わりに手に入り易いサンキライの葉を取りに行き、柏餅を作りました。

立夏   夏の始まりです。暑くなりそうです。いよいよ、農業の最盛期です。ミミズも地中から出てきて水田にはカエルたちが鳴き始めます。筍がおいしい季節。香りのよい山椒の葉を裏庭からもぎ、すり鉢ですって作る木の芽あえが大人になった息子たちも大好きです。