綿柎開

四季のしつらい
秋の七十二候の1つに綿柎開(わたのはなしらべひらく)があります。柎は、普...

秋の七十二候の1つに綿柎開(わたのはなしらべひらく)があります。柎は、普段使わない漢字です。綿の植物として名前は、ワタでこれを紡いで出来たものが綿布になります。昔、丹波篠山の道具屋さんで、糸車を見つけ綿を引っ張りながら紡ぎ、糸にしました。その糸をクチナシで黄色に染めて織機で織ったことがあります。昔の人は、このようにして栽培したワタを糸にして衣服を作っていたのですから大変なことだったでしょう。ワタの黄色の花は、咲き終わると子房が膨らみ緑の実を結ぶのですが、この実が開くと、真っ白な綿花コットンが見られます。まさにこの時期の特徴を表した季節名です。

温風至(あつかぜいたる)

四季のしつらい
本格的な夏の訪れを告げる時期のことを表す美しい言葉です。読み方は「あつか...

本格的な夏の訪れを告げる時期のことを表す美しい言葉です。読み方は「あつかぜいたる」と読むのですが、本来、熱風が吹く真夏の暑い風でなく爽やかなものです。本格的な夏に入る頃をいいますが、今年は酷暑になってしまいました。年々暑さが厳しくなることに温暖化を心配しています。

梅子黄(うめのみきばむ)

四季のしつらい
梅の実が熟す頃の雨ということから「梅雨」になったと言われる6月ですが、「...

梅の実が熟す頃の雨ということから「梅雨」になったと言われる6月ですが、「梅の月色」と美しい言葉も残っています。梅は、昔から日本人に身近な植物ですが、もともとは、花よりも実が万病に効くとされ、奈良時代に薬用植物として中国から伝わったと言われています。近所のりっぱな梅の木の実が色づいていました。じめじめとした梅雨の時期には、身体の免疫力が落ちてきます。そのような中、クエン酸が豊富で疲労回復、食欲増進の作用がある梅干しは、古くから重宝されて来ました。殺菌作用も強く、食中毒の予防にも役立ちます。梅干しや梅酒、梅シロップ、ジャムなどを作り保存食として楽しみます。

竹笋生(たけのこしょうず)

四季のしつらい
初夏の味覚の筍が竹藪の土からひょっこり出てくる頃のこと。筍ごはんにお吸い...

初夏の味覚の筍が竹藪の土からひょっこり出てくる頃のこと。筍ごはんにお吸い物、木の芽和えや若竹煮などにし、優しいほのかな甘みを楽しみます。筍が何枚もの薄い皮に包まれていますが、この皮には、キツネやイノシシなどの動物に食べられないようにする役目があります。竹は、節目を作りながら、まっすぐ伸びるその強い生命力にあやかって、節度としなやかな強さの象徴とされてきました。1日で数十センチずつ、雨後の筍とも言うように雨が降った後は、驚くほど一斉に伸びるようです。さまざまな草木が青葉の勢いを増していく中で、地中の筍を育てている親竹たちは、黄ばんで、どんどん葉を落としていきます。古葉がどっさりと散り積もった地面から、ちょっと顔を出す筍には風情があります。

清明

四季のしつらい
清明とは、「清浄明潔」という言葉を略したもので全てのものが清らかで生き生...

清明とは、「清浄明潔」という言葉を略したもので全てのものが清らかで生き生きしているという意味で、様々な花が咲き木々は生命力にあふれ、生き物は元気よく動き回る時期です。燕が南の国から渡ってくる頃です。沖縄では「シーミー」と呼ばれる清明祭が行われます。先祖代々のお墓に親戚一同が集まり、墓掃除やお供えをした後、その場で、宴会をする様子がメディアでも報道されています。伝統行事として行われていますが、気候が良く散策にふさわしい時期なので、お墓の草むしりやお掃除に出かける方も多いでしょう。日本では、春の青草を踏んで遊ぶ、春の野遊びという意味の「路青」ということばがあります。

啓蟄(けいちつ)

四季のしつらい
この時期は、まだ少し寒さも残っていますが、大雪が降るという事も少なくなり...

この時期は、まだ少し寒さも残っていますが、大雪が降るという事も少なくなり、日に日に春に近づいて陽ざしも暖かくなってきました。気持ちも明るく元気になります。啓蟄とは、二十四節気の雪から雨へと雪氷が溶け始める「雨水」の次で、春分の前の季節です。冬ごもりをしていた虫たちが顔を出し、土から出てくるという意味です。もちろん虫に限らず様々な生き物が目覚める時です。実家では冬になる前に、木の幹に藁で編んだ敷物のようなコモを松の木に巻き付けて虫を集め、この時期に取り外し燃やすことで、害虫退治を行っています。庭でもミツバチがミモザの花の周りを元気に飛び回っています。